「2026年10月 日本のデータセンター投資動向レポート」を公開しました

Two Sheep株式会社は、日本のデータセンター投資の最近の動きを、公開情報(2026年10月28日時点)から整理しました。NTTデータとAnthropicの協議に関する報道、NTTの国内約1GW計画、秋田・鹿児島・北海道の大型計画、堺の工場跡地の活用、政府の官民投資ロードマップ、電力需要の見通しをまとめています。
Two Sheep株式会社は、日本のデータセンター投資の動きをまとめた「2026年10月 日本のデータセンター投資動向レポート」を公開しました。各社・自治体のプレスリリース、政府の資料、報道などの公開情報(2026年10月28日時点)をもとに、当社が独自に整理したものです。報道だけで伝えられている内容は、その旨を明記しています。
要点
- 報道:NTTデータグループが、Anthropicにとって日本初の専用データセンター建設で最終調整中(日経、2026年10月13日)。受電容量は最大500MW、建設費は最大1兆円規模。両社は正式発表していません
- NTTは、国内データセンターのIT電力容量を約300MWから2033年度に向けて約1GW(3倍超)に増やす計画を公表(2026年4月27日)
- 地方の大型計画:鹿児島県薩摩川内市で累計350MW規模(市が公表)、秋田市北部で受電容量最大500MW(報道)。国は2026年9月、データセンター集積型の「GX戦略地域」に9地域10地点を認定
- 政府の官民投資ロードマップ(2026年7月21日決定)は、「クラウド・データセンター、蓄電池」の官民投資を2035年度までに32.7兆円と想定
- 電力広域的運営推進機関は、新増設データセンターの最大需要電力を2035年度に661万kWと想定。電力の確保と系統接続までの期間が、多くの計画で課題となっています
1. 報道:NTTデータとAnthropicのデータセンター協議
日本経済新聞は2026年10月13日、NTTデータグループが米国のAI企業Anthropic(アンソロピック)向けに、Anthropicにとって日本で初めての専用データセンターを大阪府内に建設する方向で最終調整していると報じました。ロイターなども、日経の報道として伝えています。報道された主な内容は次のとおりです。
- 場所:大阪府南部の湾岸地帯が候補(具体的な用地は公表されていません)
- 規模:受電容量は最大500MW、建設費は最大1兆円規模。GPUサーバーなどを含めると、総額は数兆円規模になる可能性があるとされています
- 時期:2026年度末(2027年3月31日)までの契約締結をめざし、早ければ2028年に一部の稼働を始める
- 電力:系統から500MWを受電するには時間がかかるため、まず自家発電や燃料電池などの活用を検討するとされています(日経アジア)
NTTはロイターに対してコメントを控えました。2026年10月28日時点で、NTTグループ各社とAnthropicのいずれも、この件について正式な発表をしていません。報道された数字は、いずれも協議段階のものです。Anthropicは2025年10月29日に、アジア太平洋地域で初めての拠点として東京オフィスの開設を発表しています。
海外のIT企業も、日本のクラウドやAI基盤への投資を発表しています。Microsoftは2026年4月3日、2026年から2029年までに日本で100億ドル(約1.6兆円)を投資すると発表しました(AI基盤、サイバーセキュリティ、人材育成の合計)。AWSは2024年1月19日に、2027年までに東京と大阪の既存のクラウド基盤に2兆2,600億円を投資する計画を、Oracleは2024年4月18日に、今後10年間で80億ドル超を投資する計画を公表しています。
2. NTT:国内のIT電力容量を約1GWへ
NTT、NTTデータグループ、NTTドコモビジネスは2026年4月27日、AIネイティブインフラ「AIOWN」の展開とあわせて、NTTの国内データセンターのIT電力容量を、現在の約300MWから2033年度に向けて3倍超の約1GWに拡張する予定だと発表しました。発表に含まれる主な計画(千葉・栃木・東京)と、関西・九州での別の発表は次のとおりです。
- 千葉県印西・白井エリア:データセンターキャンパスを段階的に整備し、最終的にはエリア全体でIT電力容量合計約250MWに拡張する予定
- 栃木県:栃木インター産業団地に「栃木TCG11データセンター」を整備。2029年の竣工を計画し、最終的にはIT電力容量約100MWに拡張する予定
- 東京都心部:NTTドコモビジネスが、JR山手線沿線の駅から徒歩約5分の場所で、液冷を標準とするAIデータセンターの建設を開始。2029年度下半期にサービスを始める予定
- 関西・九州:NTTデータは2026年4月9日、京都・京阪奈エリアにIT容量30MWの「京阪奈OSK11データセンター」を開設しました。NTT西日本は2026年6月23日、大阪南データセンター(大阪市中央区、ITロード8MW、2031年度竣工予定)と博多データセンター(福岡市博多区、ITロード5MW、2029年度竣工予定)の新設を発表しています
NTTは、液冷を使うと空冷に比べて冷却にかかる電力を最大60%削減できるとしています。

写真1:データセンターのサーバーラック(イメージ。2011年に米国の研究施設で撮影されたもので、本文の施設とは関係ありません。写真:Derrick Coetzee、CC0、Wikimedia Commons、トリミング・縮小して使用)
NTTは投資額を公表していません。ブルームバーグは2026年8月4日、関係者の話として、NTTデータが約1GWへの拡張に向けて、2033年までに少なくとも1.5兆円(約96億ドル。AI向けの演算装置の費用は含まない)を投じる見通しだと報じました。同じ記事によると、NTTデータの広報担当者は、投資計画は開示していないと説明しています。
3. 地方の大型計画:秋田・鹿児島・北海道
経済産業省は2026年9月11日、「GX戦略地域」の第1弾を認定しました。このうち「データセンター集積型」は、今後10年程度でGW級のデータセンター集積地を形成する取り組みで、北海道(石狩市、苫小牧市)、秋田県(秋田市)、宮城県(富谷市)、栃木県(矢板市)、茨城県(常総市/つくば市)、富山県(南砺市)、香川県(綾川町/坂出市/丸亀市)、福岡県(北九州市/直方市/鞍手町)、鹿児島県(薩摩川内市)の9地域10地点です。認定には、計画の着実な推進や地域との共生の確保などの条件が付いています。

図1:日本の主な大型AIデータセンター計画(受電容量。計画上の最終規模、2026年10月28日時点。各社・自治体の発表と報道をもとに当社作成。KDDIの大阪堺データセンター〈稼働中〉は受電容量が公表されていないため、NTTの約1GWはIT電力容量のため、図には含めていません)
秋田市北部
秋田市は2025年10月27日、Bitgrit, inc.と株式会社エスツーとの連携協定を発表しました。再生可能エネルギーで稼働するAIデータセンターの立地と、データサイエンティストの育成・雇用を柱とする内容です。共同通信は2026年8月6日、秋田県とエスツーの話として、秋田市北部の工業団地を候補地とし、受電容量は最大500MWを想定、整備費用は2兆円規模になる見込みで、2030年代前半の稼働をめざすと報じました。同じ報道によると、アラブ首長国連邦(UAE)の政府系ファンド「ムバダラ・インベストメント」が投資を検討しています。
鹿児島県薩摩川内市
九州電力の川内発電所(火力)の跡地にある「サーキュラーパーク九州」では、台湾のCDIBキャピタルグループが中心となって設立した凱信数基(カイシンデジタルインフラストラクチャー)株式会社が、AIデータセンターを計画しています。同社は2026年1月20日に設立され、7月18日に薩摩川内市と立地協定を結びました。市によると、実証運用から始めて段階的に拡張し、累計350MW規模のAIデータセンターを整備する計画で、投資予定額は約8,500億円(350MWの時点、変更の可能性あり)です。市はこれとは別に、サーキュラーパーク九州の敷地全体で、約2兆円相当のAIデータセンターのサーバー関連投資が生まれると見込んでいます。共同通信は、2026年度中に着工し、2027年度以降に建設と並行して小規模な運用を始め、2032年度までの本格稼働をめざすと報じています。
北海道(石狩・苫小牧)
ソフトバンクは北海道苫小牧市で、約70ヘクタールの敷地にAIデータセンターを建設しています。まず50MW規模で開業し、受電容量は300MW超まで拡大する見込みで、2026年度中の開業をめざしています(2026年10月21日時点)。石狩市では、受電容量15MWの「石狩再エネデータセンター第1号」が2026年3月27日に竣工し、8月1日から各データホール向けのサービスを始めました。
北海道は2026年10月20日、石狩市・苫小牧市とともに、道があらかじめ行った電力の系統申込を引き継ぐデータセンター事業者の公募を始めました。石狩は5件の電力申込で合計590MW(連系の目安は申込により2031年10月〜2032年12月以降)、苫小牧は約47ヘクタールの用地で400MW(同2030年8月以降)です。
4. 工場跡地の活用:堺のAIデータセンター
大阪府堺市の旧シャープ堺工場の敷地では、KDDIがAIデータセンターを稼働させており、ソフトバンクもAIデータセンターを整備しています。

写真2:堺泉北臨海工業地帯(イメージ。本文の施設を写したものではありません。写真:Sakai Yayoi、CC0、Wikimedia Commons、縮小して使用)
KDDIは2025年4月にシャープ堺工場の土地や建物などを取得し、工場の大規模な電力・冷却設備を再利用して、約半年で「大阪堺データセンター」を構築しました。2026年1月22日に稼働を始め、NVIDIA GB200 NVL72などのAIサーバーを、従来の空冷に加えて直接液体冷却を使って運用しています。建物は地上4階・延床面積約57,000㎡で、再生可能エネルギー由来の電力を100%利用しています。受電容量は公表されていません。同データセンターのGPUクラウド「KDDI GPU Cloud」は、2026年4月1日から申し込みを受け付けています。KDDIは2026年10月27日、同年12月から推論環境で使えるAIモデルを順次増やし、2027年度にはNVIDIA HGX Rubin NVL8を導入する予定だと発表しました。
ソフトバンクは2025年3月14日、シャープ堺工場の液晶パネル工場関連の土地(約45万㎡)と建物(延床面積約84万㎡)などを、約1,000億円で取得する契約を結びました。発表時点では、受電容量約150MW規模で2026年中の稼働開始をめざし、将来は250MW超に拡大する見込みとしていました。日本経済新聞は2026年5月11日、ソフトバンクの新しい中期経営計画では、堺の大規模データセンターの稼働が2027年度とされていると報じています。ソフトバンクは同じ日に、堺のAIデータセンターを核とする「AXファクトリー」と「GXファクトリー」を同じ敷地に整備し、2027年度からバッテリーセルと蓄電システムの製造を始める計画も発表しました。
5. 政府の投資計画
政府は2026年7月21日、「日本成長戦略」を閣議決定しました。同じ日に、日本成長戦略本部が「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ」を決定しています。62の主要な製品・技術等への官民投資(主として国内)は、重複を除いた合計で、2040年度までの累計370兆円超と想定されています。
このうち「クラウド・データセンター、蓄電池」(デジタル・サイバーセキュリティ分野の項目の一つ)については、2035年度までの官民投資を32.7兆円、投資による経済波及効果を107.1兆円と想定しています。32.7兆円はクラウド、データセンター、蓄電池を合わせた金額で、データセンター単独の内訳は示されていません。官民投資ロードマップは、国内のクラウド市場を、足元で約4兆円規模、年20%超で拡大している市場としています。日本成長戦略は、国内のクラウド市場を2035年までに30兆円にすることと、蓄電池関連の売上高を2035年に3倍にすることを目標に掲げています。
政府は2026年10月1日の日本成長戦略会議で、今後5年程度の国内投資の内容と金額を示す「日本成長戦略実行計画」を年末までにまとめる方針を示しました。高市首相は10月5日の所信表明演説で、AIの社会実装に伴うデータセンター向けの電力需要の増加にも対応できる、十分かつ安定的な電力の供給を確保すると述べています。
6. 電力:需要の見通しと系統接続
電力広域的運営推進機関が2026年1月21日に公表した需要想定では、新増設のデータセンターと半導体工場の分として、全国の最大需要電力に2026年度83万kW、2030年度420万kW、2035年度762万kWを個別に見込んでいます。このうちデータセンターの分は、それぞれ64万kW、328万kW、661万kWです。

図2:新増設データセンターの最大需要電力の想定(全国合計、送電端。出典:電力広域的運営推進機関「全国及び供給区域ごとの需要想定(2026年度)」、当社作成)
同機関によると、データセンターの分は、事業者による新増設計画の見直しや既存のデータセンターの実績を踏まえ、2033年度までは前回の想定を下回り、2034年度以降は上回ります。主にデータセンターで、工事の延期・遅延や設計変更による計画の変更があり、稼働の時期が後ろにずれているとも説明しています。
首都圏では、東京電力パワーグリッドが2026年3月末時点で、データセンターから累計約1,790万kWの託送申込(契約見込みを含む)を受け付けています。これは受付済みの申込(契約電力)の累計で、現在の需要ではありません。同社の資料では、データセンターへの供給量は2025年の64万kWから、2030年に448万kW、2037年以降に約1,790万kWとなる見通しです。データセンターが集まる千葉県の印西エリアでは、2024年6月5日に千葉印西変電所(275/66kV)の運用を始めました。同社は、データセンターの新設に伴う電力需要の増加に対応するため、さらに変電所の新設などの増強工事を予定しています。

写真3:茨城県大子町の500kV送電線「福島幹線」(イメージ。2019年撮影で、本文の計画とは関係ありません。写真:Σ64、CC BY 4.0、Wikimedia Commons、縮小して使用)
総務省の2026年版情報通信白書によると、国内のデータセンターのおよそ9割は東京圏と大阪圏に集中しています。総務省と経済産業省は2025年3月に「ワット・ビット連携官民懇談会」を立ち上げ、同年6月の取りまとめでは、既存の集積地に加えて、1カ所あたりGW級となるデータセンターの集積拠点を複数整備する方針を示しました。電力と通信の基盤を一体で整備する「ワット・ビット連携」は、2026年7月14日に閣議決定された第2期の人工知能基本計画にも盛り込まれています。
7. Two Sheep株式会社の取り組み
Two Sheep株式会社は、東京都江東区青海のテレコムセンタービルに本社を置き、データセンターでの現地作業と、IT機器の輸送・導入のサービスを提供しています。
- 24時間365日のリモートハンズ:東京・大阪のデータセンターで、サーバーのラッキング、配線、故障部品の交換(RMA)、稼働状況の確認などを行います。
- IT機器の国際輸送と輸出入通関:海外で調達した機器を、データセンターの中まで一括して手配します。
- 移設・回線・光モジュール:データセンター間の移設、IP Transitや専用線の手配、光モジュールの販売(ModuleSheep)を行っています。
- 日本語・英語・中国語での対応:海外のお客様と日本のデータセンターとの間の調整を担当します。
これまでに、本番サーバー100台をEquinix TY8からアット東京 CC1へ、計画メンテナンスの時間内に移設した実績があります。
関連動画
- ▶ KDDI公式:【KDDI NEWS】大阪堺データセンター(2026年1月、YouTube、37秒)
- ▶ NTT公式:【NTT】ワット・ビット連携に向けた電力と情報通信のリソース制御(2026年2月、YouTube、3分49秒)
主な出典
- 日本経済新聞:NTTとAnthropicのデータセンターに関する報道(2026年10月13日)
- Nikkei Asia:NTTとAnthropicのデータセンターに関する報道(英語)
- ロイター:日経報道を伝える記事(The Star掲載、英語)
- NTT:AIネイティブインフラ「AIOWN」と国内データセンター計画(2026年4月27日)
- ブルームバーグ:NTTデータの投資に関する報道(Energy Connects、英語、2026年8月4日)
- NTTデータ:京阪奈OSK11データセンターの開設(2026年4月9日)
- NTT西日本:大阪南・博多データセンターの新設(2026年6月23日)
- Microsoft:日本への100億ドルの投資(2026年4月3日、英語)
- AWS:日本のクラウド基盤への投資計画(2024年1月19日、英語)
- Oracle:日本への80億ドル超の投資計画(PR Newswire、2024年4月18日、英語)
- 経済産業省:GX戦略地域(第1弾)の認定(2026年9月11日)
- 秋田市:Bitgrit, inc.・株式会社エスツーとの連携協定(2025年10月27日)
- 共同通信:秋田のデータセンター計画(熊本日日新聞、2026年8月6日)
- 薩摩川内市:凱信数基との立地協定(2026年7月18日)
- 共同通信:鹿児島のデータセンター計画(熊本日日新聞、2026年7月18日)
- ソフトバンク:北海道苫小牧AIデータセンター(2026年10月21日)
- 北海道:電力申込内容の承継に係る公募(2026年10月20日)
- KDDI:大阪堺データセンターの稼働開始(2026年1月22日)
- KDDI:大阪堺データセンターの推論環境の拡充(2026年10月27日)
- ソフトバンク:シャープ堺工場の土地・建物の取得(2025年3月14日)
- ソフトバンク:国産バッテリー事業の開始(2026年5月11日)
- 内閣官房:日本成長戦略
- 内閣官房:官民投資ロードマップ
- 内閣官房:官民投資ロードマップ 参考資料
- 首相官邸:第222回国会における所信表明演説(2026年10月5日)
- 電力広域的運営推進機関:2026年度の需要想定(2026年1月21日)
- 東京電力パワーグリッド:現状と今後について(2026年8月)
- 総務省:令和8年版 情報通信白書(データセンター等の地方分散)
- 総務省:ワット・ビット連携官民懇談会 取りまとめ1.0(2025年6月12日)
本レポートについて
- 本レポートは、各社・自治体のプレスリリース、政府の資料、報道などの公開情報(2026年10月28日時点)をもとに、当社が独自に整理したものです。報道だけに基づく内容はその旨を記載しています。各社の計画は今後変更される場合があります。本レポートは情報提供を目的としたもので、特定の企業や投資をおすすめするものではありません。
- 記載の企業名は業界の動向を説明するために挙げたもので、当社との取引関係を示すものではありません。記載の社名・製品名・施設名は各社の商標または登録商標です。
- 写真の出典:写真1 Derrick Coetzee(CC0)、写真2 Sakai Yayoi(CC0)、写真3 Σ64(CC BY 4.0)。ライセンス:CC BY 4.0。図1・図2は当社が公開情報をもとに作成しました。
- お問い合わせ:Japan@2sheep.jp、または当サイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。