「2026年 日本のデータセンター・AI計算基盤 業界動向レポート」を公開しました

各社の公開情報をもとに、日本でデータセンター・AI計算基盤に関わる92社の動きを整理しました。高密度・液冷化、千葉・印西や関西・地方への立地の広がり、海外GPUクラウドの参入、海底ケーブルと低遅延網の拡充という4つの潮流と、現場作業の担い手不足という課題をまとめています。
Two Sheep株式会社は、日本のデータセンターとAI計算基盤の動向をまとめた「2026年 日本のデータセンター・AI計算基盤 業界動向レポート」を公開しました。各社のプレスリリースや報道などの公開情報をもとに、日本で事業を行う、または参入を進めている92社の動きを当社が独自に整理したものです。
要点
- 対象:日本で事業を行う、または参入を進めている92社(データセンター事業者、GPU・AIクラウド、海外クラウド・CDN、海底ケーブル・通信事業者、金融取引向け低遅延ネットワーク)
- AIの普及により、データセンターは高密度・液冷対応へと急速に移行しています
- 新しい大規模データセンターは、東京都心から千葉・印西、関西、地方へと広がっています
- 海外のGPUクラウド事業者の参入と、台湾・韓国などからのサーバー供給が続いています
- 一方で、大量の機器を日本で受け入れ、設置・保守する現場の担い手が不足しています
1. 対象企業の内訳
92社を事業分野別に分けると、次のとおりです(社名は各分野の例です)。
- データセンター事業者・開発者:25社(27.2%) AirTrunk、STT GDC、STACK Infrastructure、Princeton Digital Group、EdgeConneX、Colt DCS、ESR、SC Zeus、MC Digital Realty、NTT DATA など
- GPU・AIクラウド:25社(27.2%) データセクション、SuperX AI、Quantum Solutions、Ubitus、イントランス、ai&、Rebellions Japan、GMI Cloud、ハイレゾ、さくらインターネット など
- 海外クラウド・CDN・ベアメタル:21社(22.8%) Ready Server、Cherry Servers、Hurricane Electric、Zadara、Melbicom、Latitude.sh、Dataplugs、XLC、Leaseweb など
- 海底ケーブル・通信事業者:12社(13.0%) Lightstorm、DREAMLINE、Vocus Group、SK Broadband、IPS、I-AM NW、Globe、中華電信 など
- 金融取引・フィンテック:9社(9.8%) McKay Brothers/Quincy Data、BSO、Avelacom、Pico、Options Technology、TNS、ジャパンネクスト証券、JAX など
本社所在地で見ると、日本は21社(22.8%)で、残る71社は海外の企業です。主な国・地域は、米国19社、シンガポール15社、英国6社、韓国6社、オーストラリア4社、台湾4社、香港2社です。日本が、アジア太平洋地域の計算基盤をめぐる海外企業の重要な投資先になっていることがうかがえます。
2. 4つの潮流
潮流1:高密度化と液冷への対応
NVIDIA Blackwell世代(B300、GB200 NVL72など)のGPUサーバーの導入が進み、1ラックあたりの電力は、従来の4〜8kW程度から数十kW、さらには100kWを超える水準へと上がっています。空冷だけでは冷却と給電が追いつかず、チップを直接冷やす液冷(Direct-to-Chip)への対応が進んでいます。
- Princeton Digital Group「TY1」(埼玉県さいたま市):IT容量96MWのキャンパスで、NVIDIA DGX-Ready の液冷認証を取得
- SC Zeus「Zeus OSA1」(大阪市):関西電力から100MWの受電枠を確保し、IT負荷70MW、1ラック最大130kWの液冷に対応する計画(2028年稼働予定)
- データセクション(千葉県印西市):Compal製のB300搭載サーバー635台(GPU 5,080基)を導入し、2026年7月から搬入・設置を開始
- ソフトバンク・KDDI:GB200 NVL72を用いたAI計算基盤を構築(ソフトバンクは2025年12月に提供開始、KDDIは大阪・堺のデータセンターで展開)
潮流2:都心から千葉・印西、関西、地方へ
大手町・豊洲・品川などの都心部は、用地と電力に限りがあります。そのため、新しい大規模データセンターは郊外や地方へと広がっています。
- 千葉県印西市:日本有数のデータセンター集積地。AirTrunk「TOK1」(計画300MW超)、STT GDC(計画最大70MW)、STACK Infrastructure(36MW)、MC Digital Realty「NRT」キャンパス(約100MW)など
- 関西:首都圏のバックアップや計算需要の受け皿として、EdgeConneX(大阪圏の2拠点で計350MW)、ESRとColt DCSの合弁事業(箕面市、計画130MW)、Vantage Data Centers「KIX1」(茨木市、68MW)、関西電力とCyrusOneの合弁「CyrusOne KEP」(48MW)などが進んでいます
- 地方:経済産業省の支援策も追い風に、Ubitus(京都府舞鶴市)、GMI CloudとWistron(鹿児島県薩摩川内市、最終的に1GWを目指す構想)、JERA・Dell Technologies・RHAELM(千葉県、JERA千葉火力発電所の隣接地で400MW、2026年10月に覚書を締結)、ハイレゾ(香川県・石川県)、RUTILEA(福島県大熊町)などがGPU拠点の整備を進めています
潮流3:海外GPUクラウドの参入と、台湾・韓国からの機器供給
AWS、Microsoft Azure、Google Cloud などの大手クラウドに加え、新興のGPUクラウド事業者(いわゆるNeoCloud)も、東京・大阪で拠点の展開を進めています。
サーバーの供給では、Compal、Wistron、Giga Computing、Supermicro などのメーカーが、大量の機器を日本のデータセンターへ送り出しています。韓国のAI半導体企業 Rebellions は、ai&のデータセンターに推論用ラックを段階的に最大100台導入する計画を、2026年9月に発表しました。
潮流4:海底ケーブルと低遅延ネットワークの拡充
国をまたぐAIの学習や計算資源の配分には、大容量で遅延の少ない通信が欠かせません。新しい海底ケーブルの計画も相次いでいます。
- I-AM Cable:NTTデータ・住友商事・JA三井リースの合弁会社(I-AM NW)が、日本とマレーシア・シンガポールを結ぶ約8,100kmのケーブルを計画(日本の陸揚げ地は千葉・三重・福岡、2029年度初めの運用開始予定)
- JAKO(福岡〜釜山)、Candle(日本〜シンガポール、千葉県南房総市に陸揚げ)、AUG East(日本〜シンガポール)など
- Lightstorm は、日本・米国・豪州などを結ぶRTIの海底ケーブル資産を取得し、自社網への統合を完了しました
金融取引の分野でも、McKay Brothers/Quincy Data がシカゴ〜東京間の低遅延回線を強化するなど、東京とつながる低遅延ネットワークの整備が続いています。
3. 課題:機器の急増に、現場の担い手が追いついていない
データセンターと計算基盤の整備が急速に進む一方で、日本で機器を受け入れ、設置・保守する現場の体制づくりが課題になっています。当社に寄せられるご相談からも、次の3点がよく見えてきます。
- 日本拠点が少人数:海外から参入する事業者の中には、日本の拠点が営業担当中心の少人数体制で、機器やネットワーク工事に詳しい現場エンジニアがいないケースが少なくありません。故障や増設のたびに、現地で作業できる人の確保が必要になります。
- 作業の難易度が上がっている:最新のGPUサーバーは1ラックあたりの価格が高く、液冷の配管、高密度の光ファイバー配線、専用の電源などを備えています。部品交換(RMA)や精密な配線には、これまで以上の経験と慎重さが求められます。
- 国境を越える物流:高価なサーバーを海外から大量に日本へ送るには、輸入通関、一時保管、データセンターへの搬入までを段取りよく進める必要があります。
4. Two Sheep株式会社の取り組み
Two Sheep株式会社は、東京都江東区青海のテレコムセンタービルに本社を置き、海外のお客様が日本で機器を運用する際の「現地の手」として、次のサービスを提供しています。
- 24時間365日の現地作業(リモートハンズ/スマートハンズ):東京・大阪のデータセンター(Equinix の TY・OS 各拠点、アット東京 CC1・CC2、NTT など)で、サーバーの設置(ラッキング)、配線、部品交換、電源投入・動作確認、荷受け・開梱、撤去に対応します
- 機器の国際輸送と輸出入通関:海外からデータセンターまでの輸送、通関、搬入をまとめて手配します
- データセンター間の移設、IPトランジット・専用線の手配、光モジュールの販売(ModuleSheep)
- 日本語・英語・中国語での対応:海外のお客様と日本のデータセンターとの間の調整を当社が担います
これまでに、Equinix TY8 からアット東京 CC1 への本番サーバー100台の移設や、中南米・カリブ地域16か国29拠点へのネットワーク機器のドア・ツー・ドア配送・通関などを担当してきました。
本レポートについて
- 本レポートは、各社のプレスリリースや報道などの公開情報(2026年10月時点)をもとに、当社が独自に整理したものです。各社の計画は今後変更される場合があります。
- 記載の企業名は業界の動向を説明するために挙げたもので、当社との取引関係を示すものではありません。記載の社名・施設名は各社の商標または登録商標です。
- お問い合わせ:Japan@2sheep.jp、または当サイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。